- 水素水ってやっぱり何かあやしい・・・
- 知人が水素水を飲んでるけど大丈夫かな?
- 悪徳業者のお金儲けの道具なのでは?
なぜ水素水はこうも疑いを持たれやすいのでしょうか。それは水素水が様々な問題点や課題を抱えているからです。
そこでこの記事では、水素水が抱える問題点や課題を整理し解説しました。
問題点・課題 | 解説へのリンク |
現場の思惑や期待が先行してしまった | 詳細へ |
ネット情報の振れ幅が大きい | 詳細へ |
定義や基準が未整備 | 詳細へ |
濃度の測定方法が統一されていない | 詳細へ |
作り方によって効果が異なる | 詳細へ |
電気分解した水に名前が幾つもある | 詳細へ |
口コミや体験談まかせ | 詳細へ |
ブーム後のマイナスイメージがぬぐえずバッシングを受けやすい | 詳細へ |
科学の問題と法律の問題が混同されている | 詳細へ |
簡単に作れるため悪用されやすい | 詳細へ |
この記事が水素水を正しく理解する一助になれば幸いです。
水素水についてさらに詳しく知りたい方はこちら
≫ 水素水を信じてる人は本当に頭おかしい?|効果なしの主張に潜む3つの誤解とブームが無くなった理由
水素水サーバーや整水器について興味がある方はこちら
≫ 【完全版】水素水サーバーと整水器|代表機種を10項目にわたって徹底比較した結果
現場の思惑や期待が先行してしまった
水素水が様々な問題を抱えてしまうのは、水素水についての思惑や期待が先行してしまったからだと考えます。
各現場の思惑・期待を整理したのが下記です。
現場 | 思惑・期待 |
---|---|
販売現場 | 水に水素と名がつくだけで、価格が何倍にも跳ね上がる 話題性十分でセールストークは何でもあり |
製造現場 | 水に水素を溶かすだけで、高付加価値製品が低コストで製造できる |
研究開発現場 | 研究開発していくほどに新しい発見があり未知な期待が高まる 「活性酸素は水素で除去できる」という構図に説得力がある |
医療現場 | がんやアトピーなど様々な難病に効くかもしれないと期待される しかも副作用もなく、コストもかからない |
一般家庭 | 美容・ダイエット・老化防止・疲労回復 etc… しかも毎日水を飲むだけで実践できる |
このように、各現場では様々な思惑や期待が先走りました。
ネット情報の振れ幅が大きい
水素水は、ネット情報の振れ幅も大きいです。
主に次の3つの説に分かれます。
- 奇跡の水
- ただの水
- 詐欺の水
【説1】水素水は奇跡の水|活性酸素を除去し万病に効く
1つ目は、「奇跡の水」だという説です。水素水には様々な効能があり、特に「活性酸素」を除去する効果が期待されています。
ネットで見られる情報は下記です。
- 活性酸素を除去できる
- がんを治す
- アトピーに効く
- 老化を防止する
- 美容効果がある
- ダイエットできる
- 疲労回復に効く
まさに救世主のような存在です。
こういった情報は、研究開発の論文や水素関連商品の広告サイトでよく見られます。
【説2】水素水は意味ない、ただの水|信じてる人は頭おかしい
2つ目は、水素水は「ただの水」という説です。水素水の効果を信じてる人は頭おかしいのでは、との批判的な声も聞かれます。
水素水が「ただの水」といわれる根拠は次のとおりです。
- 水素はほとんど水に溶けない
- 製造直後は水素濃度が高くても、飲むときにはほぼ残ってない
- 水素水を飲んでも、体内には吸収されない
- 水素には抗酸化作用などない(活性酸素には効かない)
- 口コミや体験談ばかりでエビデンスに乏しい
- 体験談はプラシーボ効果(※参考欄参照)ではないのか?
こういった情報は、評論系サイトや口コミサイトに多く見られます。
【プラシーボ(プラセボ)効果】
プラシーボ効果とは、偽物の薬を本物と思い込ませて飲ませても、ある程度の効き目が見られることです。暗示や自然治癒力が関係していると考えられています。
例えば、小麦粉入りのカプセルを乗り物酔いの薬だといって飲ませても、ある程度の酔いを防げるなどです。
「ただの水」といわれる根拠には誤解も多く含まれます。詳しくは下記を参照ください。
≫ 水素水を信じてる人は本当に頭おかしいの?|効果なしの根拠に潜む3つの誤解
【説3】水素水は嘘・詐欺・怖い水|消費者庁から行政措置が出た
3つ目は、水素水は「嘘・詐欺・怖い水」だとする説です。
消費者庁から水素水関連商品の販売・サービス業者に、行政措置が下ったことも一因でしょう。これでは「水素水は嘘?」「怖い」「やっぱり詐欺だったんだ」と思われても仕方ありません。
こういった情報は、口コミサイトや個人ブログでよく見られます。
消費者庁の行政措置について詳しくはこちら
≫ 消費者庁による行政措置|景品法違反
定義や基準が未整備
水素水は、公的な定義が整備されておらず、濃度の基準も曖昧な状態です。
例えば次のような点です。
- そもそも水素水とは何か
- 水素濃度の単位は何か
- 何をもって「高濃度」とするか
- 「アルカリイオン水」と「水素イオン」とは関係あるのか?
水素水の広告に「高濃度」という言葉がよく使われます。しかし、何をもって「高濃度」とするか基準がありません。
水素の最大溶存濃度は約1.6ppmであり、それ以上は絶対溶けないと書いているサイトがあります。一方で、その何倍もの高い水素濃度の商品を販売するサイトもあります。
現時点では定義や基準が未整備なため、何が正しいかを判断することはできません。
1ℓあたりに水素が何mg溶けているかを表したものが水素濃度です。
その単位に「ppm」や「ppb」が使われます。
ppmは、parts per million の略で、100万分の幾らです。
ppbは、parts per billion の略で、10億分の幾らです。
1ppm = 1000ppb で換算します。
濃度の測定方法が統一されていない
水素濃度の測定方法には、下記のように幾つかあります。ただ、公的な方法は決まっていません。
- 電極を使って電位を測定し、そこから水素濃度を換算する方法
- 水素に反応する試薬を1滴ずつたらし、色の変化で濃度を判定する方法
不純物が混じっていたり、電位に影響するイオンが存在したりすると、測定結果に影響を与えます。
試薬を1滴ずつたらして測定する方法でも、溶けている酸素に邪魔されて正しく判定できないことがあります。
1滴の量にも誤差があり、どの程度まで許容されるのかも未定です。
このように公的な測定方法が決まっていないので、濃度の正確な比較ができていません。
水を電気分解するとコロイド状の水素気泡が発生します。水に溶けているわけではないので、既存の方法では濃度として検出できません。
しかし、水中に水素が存在していることには変わりありません。これを計算に含めるかどうかでも、水素濃度は変わってきます。
詳しくはこちら
≫ コロイド状の水素の極小の泡(ナノバブル)の存在
作り方によって効果が異なる
水素水は作り方によって効果が異なります。
水素水の作り方は、主に次の3つです。
- 水に水素ガスを溶かす(バブリング)
- 水を電気分解する
- 水と金属マグネシウムを化学反応させる
このうち、水の電気分解で作った水素水だけは、胃腸症状の改善効果が認められています。一方、バブリング水素水はいくら濃度が高くても清涼飲料水です。
作り方によって効果に違いがあるため、水素濃度が高いだけで効果があるとは限りません。
水素水の作り方によって活性酸素の除去能力にも差が出るとの研究結果があります。
詳しくはこちら
≫ 電解水素水の細胞内活性酸素除去能力は水素水の5倍。水素を除いても3倍あることが判明。(九州大学、東京大学との共同研究|日本トリムHP)
(※)ここでの「水素水」は、水に水素ガスを溶かしたバブリング水素水をさします。
電気分解した水に名前が幾つもある
電気分解で作る水素水には名前が幾つもあります。
パナソニックは「還元水素水/アルカリイオン水」、日本トリムは「電解水素水」と呼んでいます。メーカーによって様々です。
整水器メーカー | 主に使っている名称 |
パナソニック | アルカリイオン水 還元水素水 |
日本トリム | 電解水素水 |
いずれも、pH9.0~10.0未満のアルカリ性で水素が溶けこんだ水という点では同じです。
ただし、pHと水素濃度とは異なります。水素濃度が高いからといって、pHまで高くなるわけではありません。
pHとは、水素イオン濃度指数です。「H」は水素を意味するので、大文字で書きます。pHは単位ではなく、アルカリ性や酸性の度合いです。
pH7が中性で、これが基準になります。
【参考】
水素イオンが多くなる → pHが小さくなる → 酸性
水素イオンが少なくなる → pHが大きくなる → アルカリ性
時代背景や目的意図の違いによっても、呼び名は変化してきました。
整理すると下記になります。
すべてをかなえようとすると「アルカリイオン電解還元水素水」となるのでしょうか。
下記は電気分解で作った水の呼び名です。すべて同じものです。
電解水素水
電解還元水
電解イオン水
還元水素水
還元イオン水
アルカリ還元水
アルカリ水素水
アルカリイオン水
アルカリイオン還元水
アルカリイオン水素水
口コミや体験談まかせ
水素水で認められているのは、電解水素水の胃腸症状改善効果だけです。それ以外の効果は認められていません。
そのため水素水の効果・効能は口コミや体験談まかせが多いです。
個人の感想ですから、多少の誇張表現があっても見分けがつきません。さらに水素水の定義や基準が未整備のため、本当に誇張表現なのかも判断できないのです。
やがて行き過ぎた販売が横行し、消費者庁による行政措置となりました。
≫ 消費者庁による行政措置|景品法違反
ブーム後のマイナスイメージがぬぐえずバッシングを受けやすい
2016年には国民生活センターからの抜き打ち調査、2021年には消費者庁からの行政措置というように、公的な機関からの追及が後を絶ちません。
その内容は様々に解釈され、枝葉がついてネット上に書き込まれます。消費者が被害にあっているので、こういった事態になるのは当然です。
水素水関連ビジネスは、バッシングを受けやすい業界といえます。
科学の問題と法律の問題が混同されやすい
水素水は、科学の問題と法律の問題が混同されやすいです。
「水素水は本当に効果があるのか?」は科学の問題です。世界中で研究が行われ、活発に成果が発表されています。
一方「こんな論文が出てるので効果ありです!」とうたって販売していいかは法律の問題です。
効果があるか無いかと、それでモノを売ってもいいかどうかは別問題です。しかし、この線引きが時として失われます。その結果が消費者庁による行政措置へとつながってしまうのです。
詳しくはこちら
≫ 消費者庁による行政措置|景品法違反
簡単に作れるため悪用されやすい
水素水は安く簡単に作れます。それでいて広告の仕方次第で何倍もの価値を持たせることができます。だから、悪用されやすいのです。
水素水が奇跡の水なのか、ただの水なのか、いずれにせよ判定するのに時間がかかります。そもそも水素水の定義や基準、測定方法すら未整備の段階です。現時点で是か非かを判定することには無理があります。
ネットで水素水の情報を調べるときは、不確定な情報が多いことに注意しましょう。特定の意見に流されず、客観的な視点で読まれることをおすすめします。
まとめ|水素水はまだまだ発展途上
結局、このようにたくさんの問題点や課題を抱えているのは、水素水がまだまだ発展途上だからです。
現在も世界中で研究開発が続けられ、たくさんの論文も発表されています。水素水の真価が問われるのはこれからです。
水素水についてさらに詳しく知りたい方はこちら
≫ 水素水を信じてる人は本当に頭おかしい?|効果なしの主張に潜む3つの誤解とブームが無くなった理由
水素水サーバーや整水器について興味がある方はこちら
≫ 【完全版】水素水サーバーと整水器|代表機種を10項目にわたって徹底比較した結果