- 水素水ブームが無くなった理由は?
- 水素水とは一体何だったのか
水素水は、実は何度も山と谷を繰り返しています。落ちてもなぜか再び盛り返すのが水素水です。
そこでこの記事では、整水器の生産台数の推移をもとに、過去に起こった水素水ブームをふりかえります。
- アルカリイオン整水器の生産台数の推移と水素水ブームの変遷
- 1992年のブームのきっかけとなったTV番組
- 1992年の国民生活センターからの疑義
- 1993年から5年にわたって行われた検証の結果
- 2016年の国民生活センターからの発表
水素水の抱える様々な問題点や課題について、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてください。
≫ 水素水を信じてる人は本当に頭おかしい?|効果なしの主張に潜む3つの誤解
最初のブームのきっかけは1992年のTVニュース
最初のブームは1992年(平成4年)のTVニュース番組がきっかけでした。櫻井よし子さんの『NNN今日の出来事」で「驚異の水」として紹介されたのです。
それまでアルカリイオン水を作る生成器(整水器)の出荷台数が20万台前後でしたが、その年一気に100万台になりました。
しかし、消費者から様々な問い合わせがあり、1992年に国民生活センターから疑義が出されました。さらに国会でも審議されています。そしてブームが無くなり、生産台数が大きく落ち込みました。
1992年|国民生活センターからの疑義とその顛末
1992年に国民生活センターから疑義が出されました。概要は次のとおりです。
【対象】
アルカリイオン水
【内容】
アルカリイオン水について、以下の疑問が出された
(1) カルシウム栄養の改善に有効か?
(2) 制酸効果はあるか?
(3) 腹部愁訴の軽減効果はあるか?
【結果】
アルカリイオン水と整水器の品質・有効性・安全性に関する科学的再検証の実施を要請
【日付】
1992年12月
白黒つけるために厚生労働省が第三者機関に検証を要請
厚生労働省は、国民生活センターの疑義を機に、第三者研究組織に対しアルカリイオン水の安全性・有効性の徹底的な検証を要請しました。
【調査期間】
1993年から5年間
【目的】
(1) アルカリイオン水の飲用における安全性試験
(2) 客観的試験方法による有効性試験
(3) 国民生活センターが提示した疑義に対する回答
(4) アルカリイオン水に関するか科学的研究の推進
【試験内容】
二重盲検試験を含む比較臨床試験
【研究組織】
アルカリイオン整水器検討委員会
【結論】
アルカリイオン水(=電気分解で作った水素水)は軽度の胃腸症状の改善に有効
飲用水としては世界初となる厳密な調査が、5年かけて実施されました。
アルカリイオン水は「軽度の胃腸症状の改善に有効」と結論
その結果、アルカリイオン水は「軽度の胃腸症状の改善に有効」と結論づけられたのです。
その後に薬事法改正により、水を電気分解する整水器は管理医療機器として認証されることとなりました。(家庭用電解水生成器 JIS T2004)
メーカー側とすれば、国家主導で臨床試験をしてもらった上に、国のお墨付きを得たような形です。
慎重を期すために、二重盲検試験で実施されました。
二重盲検試験とは、試験内容を「知っている」「知らない」の2グループにわけて同時に試験する方法です。
対象者が薬の効果効能を知ったためにプラシーボ(プラセボ)効果で試験結果に影響を与えてしまうことを防ぐために行われます。
ただ、完全には解決していません。「胃腸症状の改善効果」の要因が何か特定できなかったからです。
一番多く含まれている「水素」が最有力候補とされました。しかし、電解水素水には他のミネラルも多く存在するので、複合効果の可能性も残されています。
いずれにせよ、水素水は今もこのような様々な課題を抱えています。
詳しくはこちら
≫ なぜ効果があるのか?|実はまだ要因が特定できていない
2016年|国民生活センターからの発表
2016年には国民生活センターが、アルカリイオン水も含めて水素水全般について水素濃度に関する調査を行いました。消費者から水素が記載通り含まれているか調べて欲しいとの相談を受けたからです。
【対象】
市販のペットボトル・アルミパウチ水素水、生成器で作った水素水
【目的】
水素濃度がパッケージに記載通りか調査
【結果】
「水素水」には公的な定義等はなく、溶存水素濃度は様々
【日付】
2016年12月15日発表
2017年1月20日更新
発表内容を要約すると下記です。
『容器入りのパッケージに記載されている溶存水素濃度よりも、実際の測定値が低いものがあった。ペットボトルでは溶存水素が検出されなかった。効能効果等に関する表示・広告について景品法等に抵触するおそれのあるものがあった。』
一言でいうと、パッケージ記載よりも低い濃度の水素水があったということです。
発表内容に対する誤解|「効果」を調べたわけではない
この発表内容で、大きな誤解が生まれました。「水素水=ただの水」というイメージができあがってしまったのです。
国民生活センターは、水素水の「濃度」を調べただけです。「効果」を調べたわけではありません。
しかし、国民生活センターの影響力の強さから、意図せず「濃度が足りなかった=ただの水」という図式が独り歩きしてしまいました。
実際に発表された国民生活センターから消費者や関係者へのアドバイスや要望は、下記のとおりです。
消費者へのアドバイス | 水素水には公的定義等がなく溶存水素濃度も様々 / 特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品として許可、届け出されたものはない / 水素ガスは時間とともに抜けていくのでパッケージ記載通りの水素濃度になるとは限らない |
事業者への要望 | 景品法等に抵触するおそれのある表現は改善を要望 / 賞味期限までに保証できる濃度を記載するよう要望 |
行政への要望 | 景品法等に抵触するおそれのある事業者への改善指導を要望 |
いずれも水素濃度の記載方法や販売方法に言及したものです。水素水の「効果」には何も触れていません。
しかし、この発表で水素水ブームが無くなり、生産台数は落ち込みました。
2021年|消費者庁から行政処置
2021年になって、今度は消費者庁から行政措置が下りました。
水素水生成器の販売・レンタルサービス業者に対してです。
詳しくは次の記事を参考にしてください。
≫ 水素水は効果なし?|消費者庁による行政措置の概要と注意点~景品法違反
まとめ
水素水/アルカリイオン水は、何度もブームを繰り返しています。
なぜこのような事態になるかというと、水素水/アルカリイオン水は様々な問題点や課題を抱えているからです。一方で今も世界中の機関で研究開発が続けられています。
水素水/アルカリイオン水の真価が問われるのはこれからです。
水素水/アルカリイオン水の抱える様々な問題点や課題について、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてください。
≫ 水素水を信じてる人は本当に頭おかしい?|効果なしの主張に潜む3つの誤解
水素水をご検討の方は、下記の記事も参考にしてください。
≫ 【完全版】水素水サーバーと整水器|代表機種を10項目にわたって徹底比較した結果