- アルカリイオン水/水素水に興味がある
- 分類や作り方など基本的なことを知りたい
実はアルカリイオン水/水素水には、正式な定義や名称がありません。
いろんな情報が飛び交っていて、何が正しいかわからず疑問を感じてしまうことでしょう。
そこでこの記事では、アルカリイオン水/水素水について、基本的な内容をまとめました。
この記事を読めば、アルカリイオン水/水素水についての基礎知識が理解できます。
アルカリイオン水/水素水とは
アルカリイオン水や水素水という名称は、広い意味でも使われることが多く混同しやすいです。
この記事で解説するアルカリイオン水/水素水とは、主に『電気分解で作ったpH9~10の水』です。ただ、違いを理解するためそれ以外の水も解説しています。
作り方による分類
アルカリイオン水/水素水は作り方で分類すると理解しやすくなります。整理すると次のようになります。
作り方 | 名称 | pH | 特徴 |
---|---|---|---|
水素ガスを水に溶かす | 水素水 バブリング水素水 | 7.5前後 (中性) | 高濃度を作れるが水素が抜けやすい |
マグネシウムと水の化学反応 | 水素水 | 7.5前後 (中性) | 作るのに時間がかかる |
水を電気分解 | アルカリイオン水 電解水素水 電解還元水 還元水素水 | 9~10 (弱アルカリ性) | 胃腸症状の改善効果がありミネラルを多く含む |
重曹を水に溶かす | アルカリイオン水 | 10~ (アルカリ性) | 飲用不可 / 工業、掃除などに使用 |
英語の綴り|実は『アルカリイオン水』は日本生まれ
英語での表記は、次のとおりです。
水素水 | Hydrogen water |
電解水素水 | Electrolyzed hydrogen water |
電解還元水 | Electrochemically reduced water |
還元水素水 | Reduced hydrogen water |
アルカリイオン水 | Alkaline water Alkali ion water Alkali-ionic water Alkaline ionized water |
「アルカリイオン水」という言葉は日本生まれです。
そのため英語の綴りは、日本語をもとに用途に応じて英訳されています。
- アルカリ性を強調したい場合
- alkaline
- イオン化を強調したい場合
- ionized
- オリジナルな響きを強調したい場合
- alkali ion
日本人による英語の論文でも、強調したい性質によって使い分けられているようです。
もし論文やレポートで書く必要がある場合、水素水/アルカリイオン水のどういった機能に着目しているかで選びましょう。
化学式|電気分解やマグネシウム反応、イオン反応式まで
水素ガスを水に溶かす場合
水素ガスを水に溶かした水素水(バブリング水素水)は、溶かすだけなので化学反応がありません。それぞれの記号を単独で表記するだけになります。
【水素ガスを水に溶かす(バブリング)】
H2 、 H2O
マグネシウムと水の化学反応を利用する場合
マグネシウムのスティックを水に沈めて反応させる方法は、次の化学反応式になります。
【マグネシウムと水の化学反応式】
2H2O + Mg → Mg(OH)2 + H2
水を電気分解する場合
水を電気分解して作る場合は、次の化学反応式になります。
【水の電気分解の化学反応式】
2H2O → 2H2 + O2
水を電気分解して作る場合で、イオンまで含めた式は次のとおりです。
【水の電気分解のイオン反応式】
(陰極側)
2H2O + 2e- → H2 + 2OH-
(陽極側)
2H2O → O2 + 4H+ + 4e–
重曹(炭酸水素ナトリウム)を水に溶かす場合
重曹(炭酸水素ナトリウム)を水に溶かして作る場合の化学式は次のとおりです。
【イオン反応式】
NaHCO3 + H2O → Na+ + H2O + CO2 + OH–
(※)反応のプロセス
NaHCO3 + H2O
↓
Na+ + HCO3– + H2O
↓
Na+ + H2CO3 + OH–
↓
Na+ + H2O + CO2 + OH–
この記事で使用した化学記号の一覧です。
水素 | H2 |
酸素 | O2 |
水 | H2O |
二酸化炭素 | CO2 |
炭酸 | H2CO3 |
マグネシウム | Mg |
水酸化マグネシウム | Mg(OH)2 |
重曹 (炭酸水素ナトリウム) | NaHCO3 |
電子 | e– |
水素イオン | H+ |
ナトリウムイオン | Na+ |
水酸化物イオン | OH– |
炭酸イオン | HCO3– |
ネットで見かける「H6O」や「H10O」などは存在しません。
溶存水素濃度|ppm、ppbは単位ではなく割合を表す
1ℓあたりに水素が何mg溶けているかを表したものが溶存水素濃度です。
単位は「ppm」や「ppb」がよく使われます。
ppmは、parts per million の略で、100万分の幾らです。
ppbは、parts per billion の略で、10億分の幾らです。
1ppm = 1000ppb で換算します。
パーセントと同じ「割合」を表しています。重さや容量などの「単位」ではありません。
1ppm=0.0001%です。
そもそも「水素は水に溶けないのでは?」と思っている方もおられるでしょう。おそらく理科の実験での水上置換法の印象が強すぎるのかもしれません。
水素は水に溶けます。
詳しくはこちら
≫ 【誤解1】水素は水に溶けないから意味ない
水素の溶ける量は水1ℓあたり最大で1.6mg(0.0016g)です。これを1.6ppmと表します。
≫ 国際水素規格協会HP|水溶液中に溶けている水素分子の濃度を表す指標
水素イオン濃度pH|飲用可はpH9~10の範囲
pHとは水素イオン濃度指数の略称です。「ピーエイチ」「ペーハー」などと呼びます。
電気を帯びた水素(水素イオン)の濃度です。
pHは単位ではなく、アルカリ性や酸性の度合いです。
pH7が中性で、これが基準になります。
pHの「H」は水素を意味するので、大文字で書きます。
水素イオンの増減とpHの関係は次のとおりです。
← 酸性 | 中性 | アルカリ性 → |
水素イオンが多くなる | – | 水素イオンが少なくなる |
~6 | 7 | 8~ |
アルカリイオン水/水素水のpHは、9~10です。
電気分解で水素水を作ると、アルカリ性になります。水素濃度を濃くするために電気分解を続けると、アルカリ性が強くなり過ぎ飲めなくなります。
そのため、整水器ではアルカリ性が一定範囲内に収まるよう調整されています。
飲用可能なpHの範囲は、9~10です。
Q&A|アルカリイオン水/水素水のよくある質問
この章では、アルカリイオン水/水素水についてよくある質問をまとめました。
よくある質問 | 解説へのリンク |
1日に必要な水分量は? | 回答へ |
浄水器と整水器の違いは何ですか? | 回答へ |
アルカリイオン水/水素水、酸性水、浄水の使い分け方は? | 回答へ |
整水器のカートリッジで除去できるJIS規格17物質とは何ですか? | 回答へ |
薬をアルカリイオン水/水素水で飲んでもいいですか? | 回答へ |
赤ちゃんのミルクをアルカリイオン水/水素水で作ってもいいですか? | 回答へ |
ペットボトルに入れると水素はどのぐらいで抜けますか? | 回答へ |
水素水と電解水素水は、なぜ区別されるのですか? | 回答へ |
アルカリイオン水/水素水はなぜミネラルが多いのですか? | 回答へ |
アルカリイオン水と水素水は同じですか? | 回答へ |
アルカリイオン水と天然水は同じですか? | 回答へ |
水素は水に溶けますか? | 回答へ |
電気分解を続ければ水素濃度は高くなっていきますか? | 回答へ |
■浄水器と整水器の違いは何ですか?
浄水器は、不純物を取り除いて浄水を作る装置です。
整水器は、さらに電気分解して電解水素水と酸性水が作れます。
機種 | 浄水 | アルカリイオン水 水素水 | 酸性水 |
---|---|---|---|
浄水器 | pH7前後 | – | – |
整水器 | pH7前後 | pH9.0~10.0未満 | pH3.5~6.8 |
■アルカリイオン水/水素水、酸性水、浄水の使い分け方は?
アルカリイオン水/水素水、酸性水、浄水の使い分け方は、次のとおりです。
種類 | 用途 |
アルカリイオン水 水素水 | 飲用、お茶、コーヒー、水割り、料理、ご飯 |
酸性水 | 洗顔、お風呂、洗濯、拭き掃除、麺類の茹で水 ※酸性水は、飲用には適しません |
浄水 | お薬、赤ちゃんのミルク |
■整水器のカートリッジで除去できるJIS規格17物質とは何ですか?
JIS規格17物質とは、日本産業規格「家庭用浄水器試験方法(JIS S 3201)」の中で定められた、水道水に含まれる除去対象となる17物質のことです。
JIS規格17物質 |
①遊離残留塩素(カルキ)②濁り ③クロロホルム ④ブロモジクロロメタン ⑤ジブロモクロロメタン ⑥ブロモホルム ⑦シス-1,2-ジクロロエチレン及びトランス-1,2-ジクロロエチレン ⑧テトラクロロエチレン ⑨トリクロロエチレン ⑩ベンゼン ⑪総トリハロメタン ⑫CAT(農薬)⑬2-MIB(カビ臭)⑭溶解性鉛 ⑮陰イオン界面活性剤 ⑯フェノール類 ⑰ジェオスミン(カビ臭) |
■赤ちゃんのミルクをアルカリイオン水/水素水で作ってもいいですか?
赤ちゃんのミルクをアルカリイオン水/水素水で作ってはいけません。
浄水で作ってあげてください。
詳しくはこちら
≫ 【注意】赤ちゃんのミルクを水素水で飲むのもNG
■ペットボトルに入れると水素はどのぐらいで抜けますか?
日本トリムのデータによると、12時間で7割程度になります。
■水素水と電解水素水は、なぜ区別されるのですか?
電解水素水は、水素以外に多くのイオンやミネラルが含まれており、胃腸症状の改善効果があるからです。
水に水素ガスを溶かしただけの水素水には、この効果が認められていないため区別されます。
詳しくはこちら
≫ 白黒つけるために厚生労働省が第三者機関に検証を要請
■アルカリイオン水/水素水はなぜミネラルが多いのですか?
もともと水道水に含まれていたミネラルが、電気分解の際に電極に引き寄せられます。濃くなった水を取り出すため、水道水に比べて5~20%多くなるのです。
カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウムなどが、濃くなっています。
決して電気分解によってミネラルが発生したわけではありません。
■アルカリイオン水と水素水は同じですか?
厳密にはイコールではありません。
アルカリイオン水は、電気分解で作る以外に、重曹を水に溶かしても作れます。
水素水も、電気分解以外に、水素ガスを水に溶かす、マグネシウムと水を化学反応させるなどで作れます。
それぞれ性質が少し異なるため、完全には一致しません。
詳しくはこちら
≫ 作り方による分類
■アルカリイオン水と天然水は同じですか?
アルカリイオン水と天然水は異なります。
アルカリイオン水は、水を電気分解して作ったpH9~10の水です。
天然水は、源泉や地下水などをろ過・沈殿・加熱殺菌した水です。
■水素は水に溶けますか?
水素は水に溶けます。
電気分解やバブリング(水素ガスを加圧して溶け込ませる)であれば高濃度の水素水を作ることができます。
ただし、大気中の水素の割合は非常に少ないので、自然界ではほとんど水に溶けていません。
詳しくはこちら
≫ 【誤解1】水素は水に溶けないから意味ない
■電気分解を続ければ水素濃度は高くなっていきますか?
はい、高くなっていきます。
ただし、アルカリ性が強くなるため、飲めなくなります。
飲めるのはpH10までです。
まとめ
この記事では、アルカリイオン水/水素水の基礎知識をまとめました。
水素水をご検討の方は、下記の記事も参考にしてください。
≫ 【完全版】水素水サーバーと整水器|代表機種を10項目にわたって徹底比較した結果